中国の科学者、1億9000万年前の恐竜の尾の痕跡を発見
人民網日本語版2025-12-03 09:28
獣脚類の多くは二足歩行で、鋭い牙を持つ肉食恐竜だ。自貢恐竜博物館や中国地質大学(北京)などで構成される共同研究チームはこのほど、四川省自貢市富順県永年鎮五里村で見つかった複数の貴重な恐竜足跡化石の踏み込んだ研究が完了したと発表した。研究によると、この地点には、ジュラ紀前期(約1億9000万年から1億8000万年前)の獣脚類の足跡および尾の痕跡が413個保存されており、初期獣脚類の多様性、運動様式、行動特性を解明するための実証的な証拠を提供している。関連成果はこのほど国際的な学術誌「古地理学報(Journal of Palaeogeography)」(英語版)に掲載された。光明日報が伝えた。
獣脚類が残した痕跡。撮影・邢立達(光明図片)
同研究の中心的な標本は8枚の石板で、3本指の獣脚類による413個のくっきりした足跡が密集している。足跡の密度は極めて高く、ある1枚の石板の密度は1平方デシメートル当たり約2個。これは中国の下部ジュラ系における最も密度の高い獣脚類の足跡記録の一つだ。
分析の結果、これらの足跡の大半が蹺脚竜のもので、長さは平均で約14.5センチメートル。形態はコンパクトで、明瞭な円形の指と鋭い爪痕を持つ。一部の大きな足跡はエウブロンテスのものと分類され、最大の足跡は長さ22.5センチメートルに達する。研究者は足跡の精密測定とバイオメカニクス分析により、これらの小型獣脚類が現代鳥類の「接地走行」に似た歩容をとっていた可能性があり、その移動速度は時速約5.8~8.6キロメートルと推定された。
注目すべきは、研究者が化石に残された複数の細長い痕跡についてもミリメートル単位の精度で3Dイメージングを行ったことだ。分析の結果、足跡と共に数本の明確な尾の痕跡が確認された。これらの尾の痕跡は長さ20~40センチメートル、幅約2~3センチメートル、深さは比較的浅く、恐竜の尾が地面に接触した直接的な痕跡であると断定された。
中国地質大学(北京)の邢立達准教授は、「二足歩行恐竜の尾の痕跡は非常に稀であり、その形成原因については諸説ある。これらの尾の痕跡は、獣脚類恐竜が湖岸や河岸地帯を低速で移動したり、停留して観察を行ったり、同種間で相互作用したりする際、攻撃的な姿勢を示した際に残されたものと考えられる」と話した。
この研究は、世界中に分布する典型的な足跡タイプに対して重要なアジア地域の事例を提供するだけでなく、これらの初期獣脚類恐竜が既に鳥類に似た移動能力を獲得しており、その複雑な行動に関連する可能性のある直接的な証拠を残していることを示唆しており、古生態系の再構築に新たな視点を開くものとなる。(編集YF)
