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漢代に描かれたウサギの図

新華社2023-01-28 10:30

少室闕に彫られた「月のウサギが不老不死の薬をつく」図。(2019年5月6日撮影、登封=新華社記者/翟翔)

 古代中国の格式の高い建物では、宮門や祠廟(しびょう)、陵寝の前に、闕(けつ、門両側の物見やぐらの台)を建てることが多かった。後漢時代には、現在の河南省登封市にある嵩山(すうざん)をまつり、治水に成功した大禹(たいう)をしのぶため、嵩山の麓にある太室、少室、啓母の三つの祠廟前に石闕が建てられた。

 少室闕に彫られた図の中でも、月のウサギが不老不死の薬をつく場面が特に愛らしい。

嵩山の麓にある少室闕。(2019年5月6日撮影、登封=新華社記者/翟翔)

 戦国時代にはすでに、月にウサギがいるという神話が形成されていた。湖南省長沙市にある前漢時代の墓葬群「馬王堆(ばおうたい)漢墓」から出土した前漢初期の帛画(はくが)には、月の中に霊芝(レイシ)を口にくわえたヒキガエルと走るウサギを描いたものがある。

 北京師範大学教授で、社会学院人類学民俗学系主任の蕭放(しょう・ほう)氏は「漢代には、陰の属性を持つウサギは、月の瑞獣とされていた」と説明した。

 前漢の月のウサギは走っている姿が多いが、後漢になると不老不死の薬をつく姿が多い。これはどのような進化を反映しているのだろうか。

 蕭氏は「走るウサギは日常的に目にする動物だが、薬をつくウサギは漢代の人々の想像によって作られた神話上の生物になる」と指摘。繁殖力の強いウサギが薬をつくというのは、健康や人口増加を期待する社会心理の投影だと説明した。

長沙馬王堆漢墓の帛画に描かれた月のウサギ。(資料写真、登封=新華社配信)

 南陽師範学院の鄭先興(てい・せんこう)教授によると、漢代の楽府の詩には、白ウサギがひざまずいて薬をつくという詩句があり、漢代の芸術においては、ウサギは月の中や仙薬を司る西王母の隣で、単独またはヒキガエルと一緒に薬をつくイメージで描かれていることが多い。

 鄭氏は、ウサギが薬をつくイメージは、草をかみ砕くウサギの動きを見た古代人が中草薬の調合と結びつけ、ウサギが人々に健康と長寿の薬をもたらすと考えたからではないかと分析した。

 嵩山文化研究会の宮嵩濤(きゅう・すうとう)副会長は「少室闕のウサギが薬をつく図は、古くから中国人にウサギが愛されてきた動物であり、社会的・文化的な美の感覚と密接に関係し、平安と健康を届ける吉祥の象徴とされてきたことを示している」と語った。(記者/翟翔、桂娟)

陝西省咸陽市の漢代甘泉宮遺跡から出土した月のウサギとヒキガエルをモチーフにした瓦当(がとう)。(資料写真、登封=新華社配信)